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●宜興窯と紫砂について



・宜興窯
宜興窯は中国八古窯の一つで、江蘇省宜興市の郊外を中心に現在も紫砂壷を中心として、国営工場も含め作陶は盛んに行われています。宜興市の中心部は陶芸の町を感じさせる物は少ないのですが、中心部から車で20〜30分の丁蜀鎮という町まで行くと常滑同様、土管・甕・鉢が町の彼方此方で売られています。現在国営工場は第一・第二とも営業はしていますが、そこで製作されている茶壷は型出しの茶壷が中心です。


・紫砂壷
紫砂壷の特徴ですが、紫砂壷でお茶を淹れますと渋みや灰汁が茶壷に吸収され、お茶が美味しくいただけます。これは材料と焼成方法による特徴で、日本では焼き締めの常滑・備前・信楽焼きにも共通した特長でもあります。しかしながらその効果は、紫砂壷が一番と思われます。これは同じお茶を同じ条件で、普段お使いの急須と紫砂壷で淹れたお茶を飲み比べられれば納得がいかれる事と思います。つまり紫砂壷は中国茶ばかりでなく、日本茶も美味しくいただけるのです。


・「恒福茶具」でのお取り扱い茶壷について
「恒福茶具」では、型出しの量産茶壷は取り扱っていません。作家による手作りの茶壷のみを取り扱っています。また中国では偽物(レプリカ)製作が盛んで、本当の意味では作家本人から購入した茶壷以外はレプリカの可能性も疑わなくてはなりません。また一般の観光で宜興を訪れて商店で購入される茶壷は、そのほとんどが本物ではないばかりか、宜興産でない可能性があります。「恒福茶具」で取り扱う茶壷は、作家本人から直接購入した物、及び信用できる仲買人から購入した茶壷のみです。基本的にお値段の高い茶壷には、作家の証明書をお付けしています。比較的お値段の手頃な茶壷については、作家の証明書の無い物も有ります。証明書が無い場合は偽物という訳ではなく、仕入れの際にどうしても証明書が用意できなかった物、もしくは有名作家ではない為にもともと証明書を用意していない茶壷です。一部の茶壷は私自身もレプリカの疑いを持っていますが、茶壷としての出来は悪くありませんし、自身急須作家である私の審美眼を信用して頂けたらと思います。


・何故手作りにこだわるのか?
「恒福茶具」では、何故作家物の手作り茶壷にこだわるのか?良質な紫砂の材料はもう産出量が少ないので、一般的な材料と比較すると十倍の価格差があります。ですから型出しの茶壷には良質な材料は現在使われていませんし、値段の高い材料は一部の作家が確保してしまいます。つまり紫砂独自のお茶の悪い成分を吸収するメリットが、型出し茶壷には期待が出来ないのです。これは機能面での理由ですが、一番の理由は型出しの茶壷には茶壷そのものの気品を感じられないからです。死壷、生壷という言葉がありますが、型出しの大半は正に死壷で、手作り茶壷は生気さえ感じられるものがあります。手作り茶壷といっても作家は数え切れない位大勢居ますし、作風も様々です。「恒福茶具」ではあくまでも、私白川好伯の目に適った茶壷のみを扱っています。


・作家物茶壷とその値段
「恒福茶具」で取り扱う手作り茶壷は、ほとんどが作家のアトリエなり自宅なりで製作されています。宜興紫砂壷は電動轆轤を使用した製作方法ではなく、土を板状に伸ばして成形する「タタラ作り」なので、小さなスペースでも製作可能なのです。基本的に材料と道具さえあれば、何処でも作陶できるのです。ある女性作家は家事を行いながら、キッチンとバスルームをつなぐ半畳程のスペースに机を置いて、そこで作陶していました。また宜興のほとんどの作家は、電動轆轤を見た事もなければ触った事もないのです。宜興の手作り茶壷の作家は、国と省が認定する資格を持っています。その資格によって勿論作品の値段も変ってきますし、茶壷に対する価値観も日本とはだいぶ違います。例えて言うなら日本では抹茶茶碗が珍重されますが、中国では茶壷が珍重されるのです。その中でも宜興紫砂壷は一番珍重される物で、その値段は現地でさえ、有名作家の茶壷は車並み、いや家が買える程の値段なのです。まして骨董品(古壷)となると本物であれば信じられない値段で取引されていますし、日本との価値観の違いを感じます。では一般的な茶壷は一体幾らなの?と思われるでしょうが、これも一概には言えません。型出しの安物なら一個数百円から有りますし、型出しといえども数万円の茶壷も売っています。(これは宜興の現地価格です。)作家による手作りの茶壷は現地で¥5.000〜数万円で購入可能ですが、一般的には販売されていませんので手に入れるにはコネが必要となります。


・「恒福茶具」での取り扱い茶壷とお勧めの作家
「恒福茶具」では様々な作家物茶壷を扱っていますが、基本的に有名作家の茶壷は手の届く作品ではないので、技術力の有る若手の作品を中心に取り扱っていきます。国家認定及び省が認定する資格を持っていなくとも、技術力の高い若手作家は大勢居ます。無名であっても、作品そのものに技術力と気品を感じる事が出来る作品を作っている作家を、皆様にご紹介していきたいと思います。その中でも現時点では「張泉林」が一番のお勧め作家です。張泉林はつい最近工芸美術師に資格が上がったので作品の相場が値上がりしていますが、将来彼の作品は益々認められる事になると思います。


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